12月9日(月)
今朝百万遍に来たところで、大鴉が三羽、立派な羽根を広げて頭上を追い越していった。nevermore、と思わずつぶやく。定時に研究室に到着。
2、3時限の支度と、メールの返信。
午前のタッソの授業では、天の使者(≒天使)から地上の使者(≒大使)へと話題が展開する箇所を読む。その展開に先立って、「私」と「聖霊」の間で、大使の理想の姿を、弁論家の理想のあり方から考察することが確認される。その確認に際して「聖霊」が、これとは別のやり方もあることに言及している。それが、雄弁術("l'arte oratoria")を料理術("l'arte de la cucina")に重ねあわせて考察するという思いがけない方法。
この二つのアルテを結びつけた記述は、プラトンの『ゴルギアス』の一節に確認できる。それによると、体育術(体を鍛えるアルテ)に対して化粧法(体の表面を装う手管)があり、後者はうわべを見せかけるやり方、迎合と位置づけられる。これと同じ関係が、医術と料理法、並びに、裁判術と雄弁術の間に存在することが該当箇所で指摘されている(それぞれ後者が迎合的)。実質・実体を重んじるプラトンらしい見解。この記述から、雄弁術と料理術の類縁性が導き出されることになる。
午後の文学史は、マキァヴェッリの『君主論』について。当時のフィレンツェ(イタリア半島)の状況とマキァヴェッリのキャリアーを紹介。
その後、オンラインの会議。問題なく終了。自分の仕事を少しだけ進めて退室。
帰宅後、家事。