2025年11月10日月曜日

授業二つ("Il messaggiero"と文学史)

 定時に研究室に到着。

 2、3時限の準備。余った時間で少しだけ自分の研究。

 午前のタッソの授業では、引き続いてIl messaggieroの大使の役割を論じたパートを精読する。今日読んだ個所に次のような一文あり:

Che s’in questa corrozione de prencipi e di cittadinanze egli ad Aristide vorrà agguagliarsi, non gli dovrà esser grave soverchiamente s’egli per premio de la sua giustizia sia da le corti e da’ tribunali sbandito.

(訳)この堕落した君主たちや市民たちのなかにあって、もし彼(≒善良な大使)がアリステイデスに肩を並べたいと望むなら、正義の褒美として宮廷や裁判所から追放処分を受けたとしても、彼にとっては厳し過ぎることではないに違いないだろう。

 アリステイデスは古代アテナイの政治家・軍人。ペルシア戦争で功績をあげたのち、陶片追放(僭主になる恐れがある人物を市民が投票によって追い出す措置)の憂き目にあっている。上記の一節はこの史実を踏まえている。構文について補足すると、冒頭の"Che"は前後の文脈から「だから」「したがって」くらいの意と考えられる。non gli dovrà esser grave soverchiamenteの主語は、後続のse節。「以下のようなことが起こるとしても、それは…」という意味合い。ちょっと分かりにくいけれど、勘のいい人はすぐに対応できるようになると思う。

 昼食後、速やかに3時限の教室へ。今日の文学史の授業では、アリオストの『狂えるオルランド』のいくつかの場面を翻訳で確認しながら作品の特徴を紹介。8行詩節のシンタックス構成についても説明。参加者のみなさんに、簡単な問題を考えてもらう。

 授業終了後、業務、明日の授業の準備など。
 夕方少し早めに退室。
 帰宅後、家事(結構ハード)。