2024年11月29日金曜日

ソネット160(cespo, crespoの脚韻)

11月29日(金)

 定時に研究室に到着。集中できる午前の時間に、自分の仕事、3時限の支度など。

 今日読んだCanzoniereの一節(ソネット160の第4連):


  Qual dolcezza è ne la stagione acerba

vederla ir sola coi pensier suoi inseme,

tessendo un cerchio a l’oro terso et crespo.


最終行の末尾のcrespo(「波打つ」という意味。「波打つ純金」で「金髪」の意)は珍しい脚韻。このソネットの第3連は、


  Qual miracolo è quel, quando tra l’erba

quasi un fior siede, over quand’ella preme

col suo candido seno un verde cespo.


ご覧のとおり、cespo-crespoで韻を踏んでいる。形容詞の"crespo"はペトラルカの『カンツォニエーレ』で4,5回使われているようだが、脚韻に関わるのは上記のソネット160と227の2箇所のみ。後者では1行目の末尾に女性複数形の語尾で置かれて、crespe-rincrespe-vespe-'incespeと韻を踏んでいる。vespe「ハチ」が加わっているのが面白い。この名詞以外は、rincrespare, incespare (incespicare)というcrespo, cespoと関連のある動詞の活用形なので、-espoで韻をつくる選択肢がかなり限られていることがうかがえる。

 ソネット160に話を戻すと、この珍しい脚韻が何故この作品のこの箇所で選択されたのかという疑問が浮上する。授業のなかで参加者の皆さんに考えて頂く。

 授業終了後、キャンパス内を少し散歩。研究室に戻って業務と自分の仕事のつづきと紀要にかかわる作業をすこし。18時半ごろに退室。

ようやく色づいてきた