2025年7月4日金曜日

ソネット185、鴨居玲展

 今日も早めに研究室に到着。
 
 いつものように自分の仕事から。思ったほど進まない。一区切りついたところでメールボックスの確認に行き、配達されていた書籍を回収。立替請求書を作成する。それから学部の業務について事務に問い合わせ、それに関連してメールを送信。バタバタしていたら12時近くになっていた。

 急いで昼食をとり、3時限の支度。
 
 今日の授業で面白かったのは、フェニックスから着想をえたソネット185。プリニウス『博物誌』に描かれた不死鳥の特徴が、ラウラの姿に重ねあわされている(例えば、フェニックスの首に見られる金の羽毛がラウラの首飾り=肩にかかる金髪)。参加者のお一人が、プリニウスの描写とペトラルカの詩句の色にかかわるその他の類似性を指摘してくれる。
 
 このソネットには音の面でもユニークな特徴がある(3行目から6行目)。 

Forma senza’arte un sì caro monile,                    

ch’ogni cor addolcisce, e ’l mio consuma.

   Forma un diadema natural ch’alluma

l’aere d’intorno. [...]

[不死鳥は]技術によらずにこんなに愛しい首飾りを作りだす、

ためにそれはあらゆる人の心を和らげ、わたしの心を消耗させる。

 また自然の王冠を作り出し、周囲の大気を

照らしだす。


ご覧の通り、-maが繰り返されている。最初のセンテンスの冒頭と末尾(Forma-consuma)、次の詩行の3か所(Forma-diadema-alluma)。   類例として、タッソの『エルサレム解放』に見られる-meの反復も挙げておこう(VIII 71 7-8)。

- Arme! arme!- freme il forsennato, e insieme 

la gioventù superba -Arme! arme!- freme. 

「武器を! 武器を!」狂乱の男が叫ぶと、一緒になって 

思いあがった若者たちが「武器を! 武器を!」と叫ぶ。


ペトラルカの例と同じく対韻(2行連続の同一脚韻)が効いている。タッソの場合は、同一音の反復によって、叫び声が共鳴しあう様子が表現されている。

 もう一つ、ソネット185の第二連にアンジャンブマンが繰り返されている点を別の参加者からご指摘頂く。ちょっと抜けていたのでありがたい。

 授業終了後、ルネに足を運んで注文していた電子辞書を受けとる。検収をすませてから研究室でセットアップ。ふぅ。

 夕方、いつもより早めに退室して京都駅の鴨居玲展へ。色々と面白い。スペイン滞在期の作品の一部は、ゴヤの作品の影響をうけていると思う。

 晩、イタリアへメール3通。