2024年12月16日月曜日

公聴会、マキァヴェッリ、すぐき漬け

12月16日(月)

 定時に研究室に到着。

 資料(正誤表など)の準備などをしてから、10時開催の公聴会の会場(会議室)へ。多々貴重なご意見を頂く。論文を書く上でストイックに傾き過ぎるところがあるので、次はその反対を意識したい。

 昼休みに、大学院生が来訪。書類へのサインなど。あともう少し。

 3時限の文学史では、前回に引き続いて『君主論』。特にマキァヴェッリの「運命」に対する見解について。マキァヴェッリの政治論は統治に関する技術論(アルテの考察)と見なすことができる。氾濫した河川に「運命」を譬えた比喩(25章)からわかるように、転変する運命は混沌とした自然(natura)と重なりあう。統治術は、この不安定な運命(自然)を制御するアルテと見なすことができる。

 一方で『君主論』では、君主の「力量」が「運命」に対峙する概念として位置づけられている。統治術をアルテの一種と考えた場合、「力量」と「アルテ」の関係が問題になる。

 25章では、君主の「力量」が時勢(運命)に合う場合と、そうでない場合が論じられている。そして、人の資質は簡単には変えられないこと、したがって運命の変化に合わせて自分のやり方を変えられる人もほとんどいないことが指摘されている。いくら統治術を知っていても、ある状況に適した行動をとれるか否かは、君主のパーソナリティによる。この点で「アルテ」と「力量」はイコールの関係にあるのではなく、「アルテ」を行使する力として「力量」が位置づけられるように見える。

 授業終了後、研究室で書類の手直しをしていたら、後輩の先生が上賀茂の「すぐき漬け」を届けてくださる。「これをあてに、酒をのむと……」という話になり盛り上がる。わざわざ、ありがとうございます。

 17時過ぎに退室。帰宅後、家事。