2024年12月2日月曜日

天上の使者と地上の使者

12月2日(月)

 定時に研究室に到着。

 2時限と3時限の支度。午前のタッソの授業で読んだ『使者』の一節:

Allora io così cominciai a favellare: -Assai ho io da te, cortese spirito, apparato; ma se noi contempliamo volentieri per esser poi più atti a l’operare, quel c’hai detto del celeste messaggiero vorrei ch s’accompagnasse con alcuna cosa appatenere a l’umano ambasciatore. (Il messaggiero, 193)

訳:そこで私は次のように語り始めた「私はあなたから、寛大な聖霊よ、多くのことを学びました。しかし、私たちは、実践により巧みになることを目指して観想にいそしんでいるので、あなたが天の使者についておっしゃったことが、人間の使者に属する何らかの事がらと結びつけられることを私は望んでいます」。

この一節は「私」(タッソその人)が聖霊に語る言葉だが、ちょっと分かりづらい。2行目のcontempliamoは、後続の不定詞l'operareと対をなしている。なので前者の「私たちは観想する」に対して、後者は「行動」「実践」などの訳語がよいかと思われる。最後のvorrei cheの節内の主語は、quel c'hai detto del celeste messaggiero「あなたが天の使者(天使のこと)について述べたこと」。この天使についての教えが「人間の使者に適応されることを私は望んでいる」というのが末尾の主節のメッセージ。天上と地上(マクロコスモスとミクロコスモス)の照応がうかがえる一節。

 午後の文学史の授業では言語論争について説明。ベンボの『俗語論』(『俗語論』第一書、深草真由子訳、『原典 イタリア・ルネサンス芸術論』下巻所収)から議論の要点を紹介する。ありがたい。

 授業終了後、雑用、業務、明日の授業の準備など。17時過ぎに退室。

 帰宅後、家事。