2024年7月4日木曜日

ペトラルカ『カンツォニエーレ』、ソネット 144

7月5日(金)

 定時に研究室に到着。今日も暑い。

 リクエストのあった書籍を学生研究室にお届けしてから、メール返信の業務。それから図書館を少しだけ使わせてもらう。

 1時間ちょっとで研究室に戻り、3時限の支度。授業は、滞りなく終了。一か所、音節分けで面白い一行があった。ソネット144の11行目:

da indi in qua m'incominciò apparere (G. Savoca版のテクストから引用)

冒頭のdaとindiのを分けて、da / in/di in / quaとすれば、quaが4番目、m'incominciòの末尾の母音が8番目の音節に対応するので、滑らかな11音節詩行のリズムになる。

 ちなみにapparereとなっているのは、冒頭のaを前置詞とみなしてa parereと読ませる校訂者の意図。版によっては、これで一つの不定詞と解釈して"apparere"とする表記もある。あと、この詩行は "in" の音の繰り返しが印象的。indi, in, m'in-, -min-。

 同じ144の最終行の末尾のdel rivedereについて、参加者のお一人から質問が寄せられる。

et è sì vaga anchor del rivedere

このdel (di+il)のilは定冠詞で、不定詞のrivedereを名詞化している。では、なぜ名詞化しているのか。例えば "di rivedere" と定冠詞を入れなくても、韻律上また文法上も、問題はない。その場では、音に配慮がなされている可能性を原文に基づいて指摘したが、それに加えて、文法上も説明の余地があることに思い至ったので調べてみよう。

 19時前に退室。