定時研究室。
2時限の支度をした後で、週末に届いた紀要原稿一本を印刷所に送る。あわせてイタリア人の同僚にチェックしてもらった初稿を著者二名に送信して校正の依頼。
事務に航空券の購入手続きについて電話で問い合わせをしたところ、システムが一新されていることを知る。その情報確認をしているうちに授業の時間が来ていた。
Tassoの対話作品 Il messaggiero の今日読んだやり取りに、前提条件が明示されていないために、文脈に即して意味を取ろうとしても理解が困難な一文があった。代名詞が何を指しているかを確認して文脈を整理しながら、こういうことではないかと説明したところ、参加者の皆さんにおおよそ納得してもらえた模様。
授業終了後、午前に問い合わせをしたチケット購入手続きについてイタリア人の同僚にメールで説明をする。日本語でもややこしいのだから推して知るべし。少しでもわかりやすく説明ができるように情報収集に努めたのだが、自分自身がweb上の新システムを経験していないので、理解に限界がある。
自分自身がわかっていないことを、人に説明することはできない。論文演習の授業でも、自分で理解していることを、自分に説明できる言葉で、わかりやすく叙述するように注意している。かつてデリダやラカンを援用した現代文学の論文を見かけたが、難解な概念をよく説明しないまま曖昧に借用しているために、理解ができなかった。こむずかしい概念をわざわざ持ち出さなくても、自分の言葉でさっさと説明した方がはるかに明瞭でいい論文になると思う。